第6章 体育祭
下校時間、私たちは教室から出られないでいた。
麗「ななな何ごとだぁ!?」
峰「出れねぇじゃん!何しに来たんだよ!」
教室の前にはたくさんの生徒が集まっていたのだ。ヒーロー科だけじゃない。おそらく1年のあらゆるクラスの人たちがここに集まっている。そのわけは、容易に想像がついた。
なるほど、体育祭前だから…
爆「敵情視察だろザコ。そんなことしたって意味ねぇから。どけモブ共」
飯「知らない人のこととりあえずモブって言うのやめなよ!」
飯田くんの叱責にも動じず、彼は自身のバッグを持って出口に向かう。すると群衆の中から声を上げた人がいた。
「噂のA組どんなもんかと見に来たが随分と偉そうだよなぁ。ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」
立った髪は紫で、濃い隈が特徴的な人だ。どことなく影がある彼からはヒーロー科に対する憎悪、憧れ、いろんなものを感じる…気がする。私たちが何も返せないでいると、淡々と彼は言葉を続けた。
「こういうの見ちゃうと幻滅するなぁ。普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴結構いるんだ。知ってた?そんな俺らにも学校側はチャンスを残してくれてる。体育祭のリザルトによっちゃヒーロー科編入も検討してくれるんだって。その逆もまた然りらしいよ?」
これはみんなにとってチャンスの場でもある。それはヒーロー科だけの話じゃない。だから先生は準備しとけって言ったのだろうか。相手はヒーロー科の生徒だけじゃないから。
「敵情視察?少なくとも俺はいくらヒーロー科とはいえ調子に乗ってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー宣戦布告しに来たつもり」
そう言って彼は去っていく。その彼の言葉に何人の人が恐怖を抱いたのか。
と思っていると今度は銀髪の男子生徒がオラオラと前にでる。
鉄「隣のB組のモンだけどよぉ!ヴィランと戦ったっつうから話聞こうと思ったんだがエラく調子づいちゃってんなオイ!」
切「おめーのせいでヘイト集まりまくってんじゃねぇか!」
切島くんはヘイトを集めた張本人に文句を言うが、彼はただ静かに言った。
爆「上にあがりゃ関係ねぇ」
『確かに的を射てるよね』
切「く…シンプルで男らしいじゃねぇか」
砂「言うね」
常「一理ある」
上「いやいや騙されんな無駄な敵を増やしただけだぞ」
もう体育祭は2週間後だ。