第14章 新しい生活
ようやく自分のモヤモヤしていた気持ちを吐き出すことができた。今日一日…違う、あの日からずっと、みんなに申し訳なくて自分が嫌になって…でもこんな自分の嫌な感情をみんなが受け止めてくれたことがすごく嬉しくて。私はクラスメイトに恵まれているなあって、涙が出そうになる。そんな私を優しく見守ってくれていた響香が、私の背中をバシッ!とはたく。そしてニンマリと揶揄うように笑った。
響「泣いてる?」
『なっ、泣いてないよ!』
響「ははっ、よかった。まだ次があるからね」
『そ、そうだよね…!あの、みんな、引き止めてごめんね!聞いてくれて嬉しかった!おやすみなさい!』
私のおやすみなさいを合図に、みんなも「おやすみ〜」と各々の部屋に戻っていく。共有スペースには私と響香の2人だけになった。ソファに私が座ると、当然のように響香が隣に座った。
『…響香も寝ていいんだよ?』
響「何言ってんの。1人じゃ心細いくせに。」
『っ…ありがとう…』
響「どういたしまして。それにしても、みんながいないと急にここも静かだね」
『うん、さっきの賑やかさが嘘みたい』
共有スペースには私たちの会話の声だけが響く。2人が黙ると、怖いくらい静かだ。
響「…じゃあ、恋バナでもしよっか」
『こ、恋バナ!?』
響「だってこうやって2人だけで話せる機会って滅多にないじゃん。マナの周りは恋愛の話題豊富で気になってたんだよね〜」
『そ、んなことないってば!』
あたふたとする私の顔を覗き込んで、本当に〜?とニヤニヤする響香。響香は恋バナに興味ないと勝手に思っていたけれど、やっぱり普通の女子高生だった。
響「上鳴に切島、爆豪と…あと1番怪しいのは轟かな」
思いもよらない名前と、ちょっとドキッとする名前を挙げられて私の脳みそはショート寸前だ。
『で、電気は幼馴染だし、鋭児郎くんはみんなにあんな漢じだし、勝己くんは多分私にそんなに興味ないと思うし、焦凍くんは…っ』
否定しようと思った時、彼が私を好きだと言ってくれたあの瞳を思い出してしまった。普段はクールな彼の、熱のこもったあの瞳を。思い出しただけで全身が熱くなって、心臓が激しく動いてしまう。
そんな私の変化を、目の前にいる彼女が見逃すはずがなかった。