第13章 奪還
一夜明け、世間は騒然としていた
《捕らえた脳無はいずれもこれまでと同様人間的な反応がなく、新たな情報は得られそうにありません。保管されていたという倉庫は消しとばされており、彼らの製造方法についても追って調査を進めるしかありません》
あのあと私と勝己くんは警察に渡された
勝己くんはただずっと下を向いていて、一切口を開かなかった
そして私も…なにも言えなかった
そして、家庭訪問がやってきた
相「…というわけです。どうでしょうか。…の前に、まずは娘さんを危険な目に合わせてしまったこと、心からお詫び申し上げます」
母「頭をあげてください先生!私、感謝してるんです!聞けば先生方が助けてくださったそうじゃないですか!それに…昔からでしたから。敵にこの子が攫われるのは…」
その度に私はお母さんを泣かせてしまった
母「そういう"個性"なんです、それはわかってました。けど、やっぱり怖くて、いつか娘が本当の意味で私の前からいなくなるんじゃないかって…でも、そんな心配も、最近は安心することも多くて。雄英に通ってからのこの子は、周りにたくさんの子がいます。電気くんだけじゃない。切島くんも爆豪くんも、とても頼もしかった…もちろん先生もです。だから、そんな皆さんが娘を守ってくださるのなら…私は、娘が寮で生活することに反対なんてしません!娘を…どうかお願いします!」
相「…はい。絶対に、娘さんを守ってみせます」
『お母さん、私だってヒーローになるんだよ、守られてばかりじゃ、いられない。だから、お母さんが心配しないようにもっと雄英で強くなってお母さんのこと安心させるから!!家族1人の心も守れないで、ヒーローなんて名乗れないから!』
『先生、今日はありがとうございました』
相「いや、俺こそ悪かった。…それと、やっぱりお前はヒーローだよ」
『え?』
相「ちゃんと家族も守ることを見据えてんなら、いいヒーローになれるって話だ」
『…ふふ、なんか、今日の相澤先生優しい…髪型も違うし』
相「これは仕方ねえだろ、あんなんで親御さんの前でれるかよ」
『自覚はあったんですね。でも、私は今の先生もいつもの先生も好きです。だからこれからも、よろしくお願いします!』
相「…ふっ、ちゃんと、鍛えてやるよ」
ぽんっと私の頭を撫でる先生
その顔は、とても穏やかなものだった