第13章 奪還
少し前
『んっ…ここ、は…?』
死「気がついた?甘風マナ」
目覚めた場所は薄暗い部屋で…簡易ベットのようなところで寝かされていた。そして、目の前には
『!!死柄木…弔…』
死「君、攫われてきたんだよ。ねえ、俺さ、怪我してるんだ。君の個性で治してよ…」
そう言って指し示したのは首元
引っかき傷が多数あり、肉が見えるところまであった
マナはすっ、と彼の首元に手をあてる
すると、少しずつ彼の首元は癒えていった
死「へえ…嫌がると思ってた」
『あなたが敵でも、目の前で苦しむ人を見捨てるのはヒーローのやることじゃないから…』
死「ふうん?けど、ヒーローは敵を傷つけるじゃん」
『苦しむ人がいるからヒーローがいる。そんな人たちを助けるには敵を野放しにはできませんから。私だって、できるだけ敵であろうと傷つけたくはありませんよ。…もう、苦しくないですか?』
ドクン
死柄木の胸の鼓動が早まる
なんだ、これは…?
死柄木が謎の感情に不安を感じる
死「ねえ、苦しい…わからない…なに、これ…?」
死柄木はマナの手を自分の胸に当たる
先ほどの彼女の癒しが効くと思ってことだろう
『ここが、痛いのですか…?』
マナは治癒を使うが、死柄木に変化はない…むしろ、どんどん胸の鼓動は激しくなる
死「なんだよこれ…わかんねえよ…」
マナは死柄木の様子に突然手を離してしまう
が、
死「はなれるな!」
死柄木が彼女を抱きすくめる
五本の指のうち、小指だけを浮かせて
死「ねえ、お前がほしいんだよ…なあ、俺の仲間に…俺のものになれよ…」
『…ごめんなさい…私は…ヒーローに…』
そこでマナの意識は途絶えた