第7章 ひと段落
『ただいま…』
母「おかえり。テレビ見てたよ!三位なんてすごいじゃない!!おめでとう」
『うん、ありがと!来年は一位とってみせるよ』
帰って早々に、お母さんがすごい勢いで私に駆け寄っておめでとうと言ってくれた。そっか、ちゃんと見ててくれたんだ…そう思うだけでなんだか恥ずかしいような照れくさいような気持ちになる。
母「病院でお父さんと見てたの。お父さんなんて途中から泣いちゃってたんだから」
『そっか、お父さんも応援してくれてたんだ…』
母「当たり前じゃない!明日お休みでしょう?病院、行ってきなよ」
『うん、行ってくるね!!』
私のお父さんは入院中だ。すごく珍しい病気らしくて、いまだにその治療方法はわかっていない。毎日のように検査をして、いろんな治療や薬を試して。疲弊しているだろうに私が病室に行くととっても明るく迎えてくれる。太陽のような人。大好きなお父さん。
私が小さい頃はお父さんはまだ元気で、たくさん遊んでもらったし、個性の使い方もたくさん教わった。
だから今の私があるのはお父さんのおかげでもある。
早くお父さんに三位とったよ、頑張ったよ、来年は優勝するからね、って伝えたい。
そうと決まれば明日の用意しなくちゃ。