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温もりに包まれてて 【贄姫と獣の王】

第15章 茜色の秘密


カイルside

王の腕に座り広間に入ってきたのは
長い漆黒の髪を二つに垂らし
滑らかな白い肌をした
小さく少し幼さの見える人間の娘だった



あの王が嫁を迎える…
そんな通知を見た時は信じられなかっ
幼い頃 訳ありで少しの間だったが王と過ごし 年が近いのにどこか"大人びた奴"
それがアイツの印象だった

初めて会った時 アイツは只じっと俺を見ているだけだった 何の感情も汲み取れないような赤い瞳で…
まだ小さかった俺は遊びたい盛りで
アイツの後をついて回っていたが
遊ぶことなどせず 勉学や武芸など
ばかりしていた
それを近くで座っていた見ているだけの時もあったが
アイツのあの瞳の先が何を見てるかわからなかった

お陰で一人で城の中をフラフラすることが多く
いろんな場所に行った
特にお気に入りの場所ができてからは
一日中そこにいることもあったぐらいだ

そんなアイツがどんな嫁を迎えるのか
興味が沸き来てみたが…
一目見て 違った意味で興味が出た

人間は何度か見たことがあった
怯え 軽蔑 弱さ そんな目しかしない奴等だっが この小さな娘は違った
王の腕から降り
壇上を前に進んできた娘の漆黒の瞳が
真っ直ぐ前だけを見て
強さ 気高さ
そして 何よりも美しかった




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