第9章 天啓 ~生贄~
王様side
『王様は弱くなんかない…』
白いハンカチで手の甲の止血をし
シュリはゆっくりと"儀式"の腕の傷に触れてきた
『弱い人にはこんなこと出来ないよ?』
感が良い娘だな
全て知っていると言うのか…
人の姿に戻ると何かに怯えずっと力が入っていたのに
シュリに触れられると力が抜けていく
『この世界には帰る場所はないから…
王様がアタシを食べて?王様の中に居させて…』
視線が合わさり 手が頬に触れると
冷えきった心が熱を持ち始めた
シュリの指先から安らぎと温もりが伝わってきた…
『アタシは王様の糧になりたい…』
あぁ…バカな娘だ…
もう、手放すことなど出来ぬぞ
そう心の中で言いながら抱き締め首筋に
自分の所有物であるかのように印を残した
王「シュリ…これでお前は私の一部だ
決して離れるこは許さぬぞ…」
死んでも離れられると思うな…