黒バスshort stories ver,Christmas
第12章 雪うさぎと私 ≪氷室辰也≫
そっと雪うさぎに手を触れる彼の手は手袋をはめていなかった。驚いてその手を自分の手で包みこむ。
「手袋してないの?!しもやけ出来ちゃうよ!」
突然の私の行動に驚いたのか彼は目を大きくして私の手の中にある自分の手をじっとみつめた。手袋越しでも彼の手が相当冷えているのが分かる。ぎゅっと握ってどうしようかと周りをくるくると見渡しても、見えるのは雪、雪、雪。
「と、とりあえずあっためないと…」
いつまでたっても離さない私。彼はクスッと小さく笑った。
「笑いごとじゃないよー。」
「いや、なんかそこの雪うさぎみたいだなって思って。」
二人の視線が同時にちいさく佇んでいる手のひらサイズのウサギに移る。私が、雪うさぎ…?
目線をあげて首をかしげると彼は笑顔で頷いた。
「yes. You look like that rabbit. So pretty, my girl」
流暢な英語でさりげなく言われる。英語が苦手な私にはネイティブの英語を聞きとるのに少々理解の時間を要したけど、意味がわかった瞬間恥ずかしくなって目を見開いた。