黒バスshort stories ver,Christmas
第2章 金と銀、紫と緑 ≪黄瀬涼太≫
玄関を開けて中に入る。
家には誰もいなくて薄暗くてさびしい廊下が口を開けて待っていた。電気をつけるとほわっと明るい光に包まれて、安堵感をもたらす。
「お邪魔しまっス。」
「荷物ありがとう。温かいもの飲んでく?」
「いいんッスか?」
いいよーと言いながらキッチンへ向かう。御盆にあったかいいれたての紅茶と、クッキーを乗せてソファーの前の小さなテーブルに置く。
ふと、そのまま床に座ろうとしたら、腕を掴まれ顔をあげると彼が笑顔で自分の横を叩いていた。
「座ってほしい時はお願いするんだよ?」
「座ってッス!」
一瞬の間もなく帰ってくる返事。私は小さく笑うと素直に、彼のとなりの私だけのスペースに腰掛ける。