<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第25章 声 ― 光秀&姫 ―
「みつ、ひで、さんが…欲しい。いじ、わる、しないで…」
「俺から意地悪をとりあげる訳にはいかぬだろう?」
「そ…そんな…」
涙目でじっとりこちらを見上げ訴える舞の顔が、俺の我慢の限界を超えそうになる。
「みつ、ひで、さん…抱いて、ください」
はっきり舞の口から願いを聞いた。
「ほう、これで良いか?」
わざとその場で、両腕で舞のちいさなからだを抱き締める。
「これも良いけれど…そうじゃなくて…」
舞の言いたい事はわかる。
「わ、私を光秀さんの熱で、貫いて、ください…っ」
そこまではっきり言われたからには、勿論そのつもりだ。
「そんな言葉で俺を煽って、覚悟はしているのだろう?」
「か、覚悟って…」
舞の戸惑う、その姿も愛らしい。
さあ、俺がおまえを甘やかな意地悪で包んでやろう。
そして、俺をからだ全てで感じとるがいい。
俺は舞を抱き上げると、目の前の空いている部屋へ入り、襖を閉めた。
<終>