<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第25章 声 ― 光秀&姫 ―
舞が城の廊下を歩いていた。
いつもの事だが、挨拶代わりにからかってやるか。
「舞」
声を掛け、俺に気付くと、驚いたような表情をした。
「なんだ?その驚きかたは?」
「いえ…光秀さんから声を掛けられるなんて、珍しいな、と思って…」
「そうか、では誰だと思ったのだ?」
この様子だと政宗か秀吉あたりから声を掛けられたと思ったか。
「あ、えーと、いえ、光秀さんの声だったので、光秀さんだとわかりました」
困惑した表情で答える舞。
ほう、俺の声がわかるのか?
「光秀さんの声は低くて艶があって、他の人には無いものを持っているので…」
舞は俺の声をこんな風に感じているのか。
それにしても、他の者には無いものとは何だ?
俺がそれを聞くと、舞は目を泳がせて、顔を明らかに赤くする。
「どういう事だ?その表情は?教えてもらおうか」
舞の顎をすくい、顔をわざと近づけて耳元で囁く。