<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第247章 流れる時を愛して。 ― 義元&姫 ―
「よ、しも、と、さん…」
口付けの切れ間に俺を呼ぶ声がするが、その声は拒否ではなく、俺をもっと求めているかのような甘い誘惑のような呼びかけ。
俺は更に口付けを深くするとそのまま頭の後ろに片手を回し、ゆっくりと舞を横たえていく。
「…いいかな?」
俺の問いにこくりと小さく頷く舞に俺は全てに溺れていく。
俺が生きているのは舞のおかげ、生きていこうと思わせてくれたから。
だから俺は全身全霊をかけて舞を愛して守っていこう。
「…舞」
俺が呼ぶと美しい笑みを俺に向けて「義元さん、愛してます…」と言ってくれる舞に、俺は全てを注ぎ込み愛を伝える。
「…これからも苦しみは二人で分かちましょう。私はずっと義元さんの隣にいます」
生きていてこんな嬉しい言葉を耳にするとは思わなかった俺は、鼻がつんとする気持ちを押し隠し何度も何度も愛を告げる。
時が過ぎ年月が経っても。
俺たちの愛は冷めることはなく、いつまでも続いていくことを願いながら。
俺を包む舞が言葉でなくても愛を語り、それに応えるように俺は心を沈ませる。
美しい汗を浮かべる舞の額に口付けると、舞は恥ずかしそうに微笑んで。
時は止まらず何もかも覆い流れていくからこそ、愛も変化をさせながら深く静かにからだに沁み込んで、お互いから離れられなくなっていくのかもしれないね…
<終>