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<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹

第246章 『だめ』は聞かない  ― 家康&姫 ―


「あんたが悪いからね」

おれはそう言うと舞の手を取ると花を摘まず、「待って、家康」と声をあげる舞を引っ張って部屋へ連れて行く。

部屋へ入り障子を閉めた途端、おれは舞を両腕で抱き締めそのまま唇をふさぐ。

「んっ…」とそれでも舞はおれを受け入れ、かごは手からするりと落ちたけれど、おれは口付けを止めることはせずそのまま更に深く続ける。

そして舞のからだのちからが抜けていくのに気付くと、そのまま腰を押さえつつゆっくりと畳にからだを横たえた。

まだ途中だった薬の匂いが部屋に漂っているものの、おれたちのからだは熱が収まらずおれは帯を解いていく。

舞との唇を離すと、口付けだけで蕩けた表情がおれを欲しいと訴えていて、おれは舞に囁くように「おれが欲しいなら欲しいと言って?」と言う。

「…いえ、やすが…ほし…ぃ…」

素直に言う舞におれは軽く額に口付け、そのままおれたちは深く愛し合う。

愛しながらどうしてこうなったんだっけ、と頭の隅で考える。

…ああ、そうだ、『だめ』を聞いたんだっけ。

舞の『だめ』は人ではなくわさびに向けたものだった。

でも、今となってはどうでも良い。

目の前のおれをうっとりと見つめる舞の濡れた瞳は、おれを求める色をしておれはそれに応えてやらないとね。

そうだね、おれにもきっと「だめ」と言ってくるだろうけれど、おれはそれも聞いてあげるつもりは無いよ。


<終>
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