<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第243章 特別な夜 ― 姫&家康 ―
私は家康の顔を見て言った。
「あのね、もうひとつ、贈り物があるんだけど」
「え?これ以上に無理をしたの?」
私の言葉に家康は驚いてこちらを見るものの、私は驚く家康にがばりと抱き着いた。
「え?舞?」
勢いよく抱き着いたので家康を押し倒して、私が家康にまたがる姿勢になってしまった。
でも、これで良い。
「あのね…家康…恥ずかしいけれど、もうひとつの贈り物は私なの」
「舞?」
「その、いつも、家康は私を甘やかしてくれるでしょう?だからたまには、私が家康を甘やかしたくて…」
押し倒されて目をぱちくりさせた家康は、私の言いたい事を理解したようでふは、と笑う。
「あぁ、そういうこと。へぇ…それじゃあそうしてもらおうかな」
少し横を向いてこちらを斜めに見る家康の表情は、既に何かを期待していて色っぽくて、私はドキリとしてしまう。
「さぁ、舞、どこからどうしてくれるの?俺が自分で着物を脱いだほうが良い?」
からかいを含んだように家康は私に言うから、私も慌てて言う。
「だっ、だめっ。全部私がやるからっ」
そう、今日は家康の誕生日で特別なの。
だから私が家康を大切にして素敵な夜にしたい。
そして私は家康に口付る。
「…夜は長いから、ゆっくり家康を愛するの…」
私の口付けと言葉に家康は瞳を細める。
「…あぁ…愉しみだな…」
二人の特別な夜がこうして始まるの…
<終>