<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第240章 貴方には敵わない ― 姫&政宗 ―
桜の花が散り、初夏がやってくる。
「皐月とは思えないくらい、やけに暑い日もあるのね」
私は政宗に言うと、政宗はにっと笑って違う意味の事を口にする。
「そうか?俺は舞と居ると、いつでも暑いぞ。昨晩も熱かっただろう?」
「ちょ…そういう意味じゃなくて!」
慌てて訂正するものの、政宗は家臣の人たちの前で平然として言う。
「否定するな、舞。俺たちがどれだけ毎晩熱い夜を過ごしているか、教えてやらなきゃならないだろう?」
「ええっ…」
途端、私は恥ずかしくて顔が熱をもって火照ってしまう。
でも家臣の人たちは慣れているのか、私たちを見て笑みを浮かべているだけで、本当に恥ずかしい。
「政宗、ちょっとあけすけ過ぎるよ…」
私の言葉にそれでも政宗は「そうか?」と涼しい顔を見せている。
そんな表情すらかっこ良いなんてずるいなぁ、と思い、あっけらかんとしすぎな政宗に本当に少し困惑する事もある。
でもそんな政宗が好きになったのは自分なのだから、困惑するのはお門違い。
私の気持ちを知っているのか、試すように政宗は私の肩へ手を回してくる。
「よし、暑いから少し馬で走ってくるぞ」