<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第238章 堕とす作戦 ―元就&姫 ―
丁寧に頭を下げて安土城へ戻っていく後ろ姿を見ながら、俺は一歩おひいさんに近付いた事にほくそ笑む。
「下準備は順調っと」
おひいさんを攫うより、堕として俺のものにしてやろう。
俺が、信長が最も嫌がる手段を考えた結果、愛寵の姫が他のおとこに心を寄せるという事だろうと思い、おひいさんを堕とす事に変更したのだ。
敵のおとこに大事なおひいさんの心が奪われる、それを知った時信長はどう動くのだろう。
もしかしたら魔王の名にふさわしく、おひいさんをばっさり斬ってしまうかもしれないが、それはそれで俺の目的の為に死んでもらうのだから仕方ないだろう。
俺は信長を殺すため、地獄から戻ってきたおとこだ。
だから手段を選ばず、信長を殺すためなら何でもしてやろう。
れたおひいさんの眩しい笑顔を思い出しながら、俺はゆっくりと踵を返し、おひいさんとは反対の道を歩いた。
あの萌黄色の着物を着たおひいさんが、俺に剥かれて俺のものになるのかと思うと、今からからだが疼かねぇ訳でもない。
火照ったからだはおんなを買って一晩相手をさせて静めるしかないが、それもまた一興。
おひいさん、確か名前は舞と言ったな。
人をすぐ信じる無垢な心の持ち主のようだが、世の中安全な人ばかりでないって事を心底わからせてやろう。
俺は次の作戦を考えながら、同時にどの店のおんなを抱こうか見定め、一軒の店へ入り店の主人に欲しいおんなの容姿を伝える。
おひいさんに少し似たところのある、まだおとこ慣れしていなさそうなところが気に入った娘で、その娘相手に今後の作戦を詰めていくか、と片頬で笑った。
<終>