<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第238章 堕とす作戦 ―元就&姫 ―
反物を肩からあてるおひいさんは、反物の光沢が反射して美しさが増している。
「へぇ、似合ってるな」
俺がまんざらでもないように言うと、店の主人も頷いて同意する。
「本当によくこれを見つけ出されましたね。なかなか着こなすのが難しいので、他の反物に埋もれていて、私ですら半ば忘れていましたよ。舞様のように美しいかたなら、お似合いになるでしょうね」
店の主人の褒め言葉に少し赤くなるおひいさんは、他の反物と一緒に俺の選んだこの反物も買った。
「おっと、この反物は俺が買ってやる」
「え…そういう訳には…」
俺の言に戸惑うおひいさんだが、俺は再度また会うために約束を取り付ける。
「次はこの着物を着て俺と会ってくれねぇか」
俺の頼みに「そういう事なら…」とおひいさんは微笑んだが、その微笑みは俺の意識に深く残る事になる。
買った反物を持ってやり、おひいさんが「ここまでで良いです」というところまで送ってやると、反物を受け取り俺に頭を下げた。
「今日は本当にありがとうございました。反物で着物作りますので…出来上がったら…ええと、どうやってお知らせすれば良いのでしょう…」
「そうだな…でも、あんた、ちょこちょこ城下に買い物に出ているんだろう?だからその時また会ったら進捗状況を教えてくれ」
「はい、わかりました。では失礼します」