<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第236章 こだから温泉 ― 姫&幸村 ―
「うんと…甘やかしてくれなきゃ…嫌だからね…?」
だから、私も可愛く言ってみよう。
すると幸村は目をぱちくりさせた後、みるみるうちに顔全体を赤くし、私をぎゅうとちからいっぱい抱き締めた。
「あー、もう、どうしてここで可愛く煽ってくるかな…くそっ…」
幸村の言い分がわからなくて、つい、変な事を言ってしまったのかと慌ててしまうものの、幸村は私の後頭部を撫でながら言ってくれる。
「温泉…ちょっと後でも良いよな…ひとあせ、かいた後の温泉も格別だしな…」
ええっとその意味は…と、私がその言葉の意味を考えている間に幸村に着物を乱されていってしまう。
優しくからだの線を撫でる手の動きも、私を歓楽へ堕とすぶっきらぼうだけど甘い言葉も、何もかも幸村らしくて大好き。
幸村に声も体温も上げられ、荒く息を吐いてうんと愛されるのは幸せを感じる。
だから幸村をそのまま受け入れ、幸村に溺れる。
温泉は心地よく疲れたからだを沈ませてくれ、愛された事を無音で隠していくのを幸村は眺めていて気に入らなかったらしい。
「痕、消えそうだな。もっと舞は俺のものだって付けておかないと」
つう、と首筋につけられた痕を指で辿る幸村の指が私を更に快楽へ堕としていく。
こども、本当に出来そうだな…と頭の隅で思いながらまだ見ぬ私と幸村の子はどんな子になるのだろうと思い描き、楽しい家族になりそうだな、と思うのだった。
そんな私の想像をよそに幸村の動きは激しくなって、私もその渦に巻き込まれ…溶けていくのだった。
<終>