<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第235章 愛は昇華する ― 姫&謙信 ―
手拭いを広げる謙信様は私の入れた上杉紋に気付かれる。
「これは舞が縫いとったのか?」
「はい、これくらいしか出来る事はありませんし、紋なら普段も使っていただけるかと思いまして」
私の言葉にふ、と笑みを浮かべる謙信様は私を引き寄せ抱き締めてくださる。
「おまえからの心のこもったものは嬉しい。しかし俺は、おまえがいつでも笑顔で側にいてくれるのが何より嬉しい」
そして、謙信様がくださるのは私が蕩けてしまうような口付け。
「謙信様…愛してます…」
私は心からの愛を謙信様に伝えると、謙信様も優しく私を抱き締めてくださる。
「今宵はいつも以上におまえをたっぷり甘やかしてやろう」
恥ずかしいけれど愛して欲しいと思う欲深い自分もいるのは確か。
だから謙信様の愛をそっくり受け入れて、謙信様の全てを自分の内に溶け込ませるの。
謙信様の手が、唇が、足が、私を虜にして私を呑み込んでいく。
深く深く私たちはつながると、永遠の愛を誓うように四肢を絡ませる。
互いが求め、愛の海へ流されて永遠を改めて誓いあう。
「謙信様…いつまでも愛してます」
「舞、俺もだ」
謙信様のお誕生日に愛する私たちは、その二人きりの愛を結ばせて昇華させていくのだった…
<終>