<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第234章 甘いとき ― 佐助&姫 ―
「バレンタイン?ありがとう、舞さん」
俺は舞さんが作ってくれたバレンタインのチョコ…いや、この戦国時代にチョコレートは無いので、代わりの甘味として作ってくれた団子を早速包みから取り出す。
そのまま手で取り、ぱくんと口に入れると中に入っているあんこの甘さがちょうど良く、俺は咀嚼しながら「うん、うん」と頷いてしまい、俺の様子を不安気に見ていた舞さんへ向かって親指をたてた。
「美味しい、上手だね、舞さん」
「本当?良かったぁ、佐助くんはあまり甘いものを口にしないみたいだから、気に入ってもらえるか気掛かりだったんだ」
ほっと安心して表情を緩める舞さんに、俺はおすそわけ、と小さく言って瞬時に彼女の唇に俺の唇を押しつけた。
「えっ…あっ…さ、すけ…くん…」
俺の瞬間の技に目をぱちくりさせ驚く舞さんに、俺はぺろりと唇の周辺を一度舐めると言った。
「お団子の味、しなかった?おすそわけのつもりだったんだけど」
もう、そういう事も何度もしているのに、途端に顔を赤くして目線を彷徨わせる舞さんは本当に初心くて可愛らしい。
「味はしたけど…突然だったから…びっくりした…」
ぽつぽつと答える舞さんが本当に可愛くて、俺はその場でぎゅっと舞さんを腕の中に囲う。
「本当に舞さんは可愛い。今すぐ食べたくなったな…だめ?」