<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第233章 Speak Low ― 姫&顕如 ―
「ん…」
顕如さんの冷たい唇が私の唇に触れ、その冷たい唇が私のからだのあちこちへ落ちていく。
気付くと帯が解かれ、着物の下に着ている襦袢もはだけてしまっていた。
「おまえは…私で良いというのだな?」
顕如さんの低い声が私の心に響く。
「はい、顕如さんが…欲しいです…」
私の言葉に顕如さんは自分の頭を左右に振って言う。
「…堪忍な…どうなっても知らぬ…だから先に謝っておく…」
顕如さんの手が私のからだに触れ、私はその触れられたところから熱を持って火照っていく。
顕如さんを迎えながら私は思う。
この時代に来なかったら、顕如さんの事は教科書で習うだけの事しか知らなかっただろう。
だけどこの時代へ来て顕如さんの考えを知り、助けになりたいと強く思うようになった。
時の歯車を回し、私はこの時代で生きてゆくと決め、顕如さんの側にいると誓う。
だから今、こうして顕如さんの呼吸を感じ、体温を感じ、全ての感覚を解放して顕如さんを受け入れる。
顕如さんの熱を感じながら、私はこの時代で生きてゆく覚悟を改めて思い起こし、それでも顕如さんの助けになりたいから、なにより貴方を愛してしまったから…
熱いからだが沈んでゆくのを感じ、私はその快楽へそっと堕ちていく…
<終>