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<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹

第232章 両思い ― 秀吉&姫 ―


俺が名前を呼ぶと、俺の後ろから呆れた声が聞こえてきた。

「あんたたち、いちゃつくならここじゃないところでしてくれませんか?」

振り向くと無表情の家康が立っていた。

「あっ、その、これはっ…その…秀吉さんの顔にごみが…」

しどろもどろになって舞が言い訳をするものの、家康はそれを気に掛けずこちらを見ず、俺たちの横を通りながらさらりと言い放つ。

「秀吉さん、軍議に遅れないようにしてくださいよ」

「…お、おう…」

「…み…見られた…ね…」

家康が通り過ぎて舞がへどもどになって言う。

「ああ…完全に…よし、なら、もう一度」

俺は腰をかがめて舞に軽く口付ける。

「秀吉さん…」

「よし、舞補充完了。無理するなよ?」

俺は爽快に笑い、軍議を行う広間のほうへ歩き去る。

「秀吉さん、がんばってね!」

後ろから舞の声がし、俺は振り向かず片手を軽く挙げて応える。

分かれたばかりなのに、もう舞が恋しくて愛しい…今夜もきっと舞を手放せそうにないな、俺は小さくため息をつくと広間の襖を開きながら頭の中を切り替えた。


<終>
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