<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第232章 両思い ― 秀吉&姫 ―
すっぽり俺の腕の中に入ってしまう可憐な姿に、俺はいつも心の臓が壊れるかと思う。
抱き締めて毎夜甘やかしても足りないくらい、いつでも可愛がりたい。
「ん?何か今日はいつもと違うな、舞」
俺の言葉に舞は目を丸くする。
「わぁ、すごいね、秀吉さん。実は少しだけね、お化粧を変えてみたんだよ?」
そのごく小さな変化に気付いた俺を『すごい』と褒めそやす舞だが、当然だろう、俺の愛する舞の事ならば、どんな小さな事でも気付いておきたいからな。
「どんな姿でもおまえは可愛いよ」
俺がぽん、と頭を軽く撫でると、舞は顔を赤くして照れる。
「んふ、秀吉さん、ありがとう」
俺はその姿を見て、いたずら心に舞の耳元に顔を寄せて囁いた。
「おまえは俺の腕の中で啼いている時も可愛いからな」
途端、真っ赤になって、俺からぱっと離れて舞は慌てるように言う。
「も…もう…秀吉さんったら…そんな事言ってる場合でも無いでしょう…」
全く可愛いったらありゃしない、俺の大切な舞。
ある日突然現れた正体不明のおんなが、実は遠い先の世から来たと言われてもただの戯言で信長様に仇なす奴と見ていたが、俺たちにはない考えで信長様のちからになり、俺たちから自分のちからで運を切り開いたおんな、それが舞でやがて俺たちは恋仲となるなんて思いもよらなかった。