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<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹

第229章 ねこさんの言葉 ― 三成&姫 ―


あたし、『ねこさん』と呼ばれている。

灰色の毛並みを持つ、猫なの。

飼い主は特にいないけれど、とても素敵なニンゲンの男性が、あたしを『ねこさん』と呼んで可愛がってくれるから、この人を飼い主と認めているわ。



あたしたち猫にとって、ニンゲンはニンゲン。

だから、名前があるなんて知らなかったけれど、でも、この男性、いつも周りから「ミツナリさま」と呼ばれているからそれが名前みたい。

だから私も「ミツナリさま」と呼んでるの。



ミツナリさまは、他のニンゲンに比べるとだんぜん綺麗なのよ。

あたしと同じ灰色の髪の毛、紫色の目をしていて、穏やかにいつも接してくれる。

少し高めの声で「ねこさん」と呼ばれると、つい「にゃーん」と答えて甘えてしまう。

あたしの特権でミツナリさまと一緒にお布団で眠ることもあるんだから。

ミツナリさまのからだにぴったりくっついて、あたしは丸まって眠るととても暖かくて、ぐっすり眠る事が出来るのよ。

あたしの事を知ったミツナリさまが好きなニンゲンのおんなたち、目を吊り上げて悔しがるのがわかるわ。

これくらいは許してよね、だって、あたしは猫だから、どうやってもミツナリさまが好きでもずっと一緒には居られないんだもの。

そう、あのニンゲンのおんながミツナリさまの前に現れてから、あたしだけのミツナリさまでなくなってしまったの。
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