<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第225章 好きはいつまでも ― 姫&幸村 ―
私が目をぱちくりさせる間も無く、幸村の顔が近付いて口付けられた。
「ほんと、舞は男を惑わす悪女だな」
「なっ、なによぉ、人の事を悪女だのイノシシ女だの悪口ばかりじゃない」
口付けられてからの悪態に、私もつい言い返すと、幸村は破顔する。
「はは、悪かった。でもおまえのその可愛さは、俺だけじゃなくて他のおとこも煽っているって事なんだからな。俺としてはそういう姿、他のやつに見せたくないんだ」
「えっ…そんなにあからさまに言われちゃうと…恥ずかしい…」
幸村から可愛いなんて言われると、嬉しいけれど恥ずかしいな。
「あ、そうだ、幸村、もうすぐ誕生日でしょう?何か欲しいもの、有る?」
今日、聞こうと思っていた事を忘れるところだった。
「あー、うー、別に、欲しいものは無い、けどなぁ…」
何となく歯切れの悪い幸村の言葉に、気になって私は尋ねる。
「やっぱり欲しいもの、有る?私が贈れないような高価なもの?」
「いや…そんなものじゃなくて…」
幸村はちょっとそっぽをむいて頬を人差し指でひと掻きし、思い切ったように私を見てから私の肩を乱暴に抱いた。
「んじゃ、その日はずっとおまえを愛させろよ」
「うん…え…は…えっと…」
幸村のお願いについしどろもどろになってしまう。