<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第225章 好きはいつまでも ― 姫&幸村 ―
戦いの日はまだ無くならないけれど、貴方といる時、幸せを私は感じる。
「幸村、ここ、とっても気持ち良い場所だね」
幸村が連れてきてくれたのは、小高い丘。
周りに何も無いから春日山城も見えるし、天気が良いから空も青くて綺麗。
ぽわぽわと浮かぶ雲も白くて綿あめみたいだな、と思って、幸村に言うと、幸村は怪訝な顔をする。
「綿あめ?綿に飴かけて食うのか?」
いや、違う、この時代に綿あめは無いのね。
私が綿あめとはどういうものか説明すると、幸村は口をへの字にして「俺は甘いものは好きじゃないから、そういうのはいいや」と一言。
相変わらずな幸村の態度に私は小さく肩をすくめ、すると幸村は私の態度で私が怒っているのかと思ったらしく、突然私の肩を抱いてきた。
「幸村…」
「悪かったな、機嫌直せよ。舞のいた未来の話しは、俺にはとんと検討もつかなくてな」
理解しようとしてくれていた、それだけで嬉しいよ。
「ううん、幸村、ありがとう。理解しようとしてくれて、それだけで嬉しいな」
私が幸村へ顔を上げて言うと、幸村は私を見下しながらほのかに顔を赤くした。
「あー、くそ、可愛いな」