<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第224章 動きだす恋 ― 姫&蘭丸 ―
「別に嫌いじゃないけど…そういうの…考えた事ないんだけど…」
私の正直な答えに蘭丸くんは今迄見せた事のないような、妖し気な表情をする。
「じゃあ…これから、俺の事、考えてよ。駄目?」
可愛らしく小首をかしげてこちらを見る姿に、うんとつい頷いてしまう。
「わぁい、ありがとう、舞様」
にっこりする蘭丸くんは私の頬に片手を添える。
「舞様の頬、柔らかいね」
更に近付く蘭丸くんの綺麗な顔。
「ね、舞様、俺の事、もっと知って?そして、もっと…」
「もっと?」
途中で区切られた蘭丸くんの言葉に、私は問い掛ける。
「もっと…俺を好きになって?」
突然真剣な表情に変わる蘭丸くんの顔が、本当に目の前に見える。
私は、考えもしなかったけれど、蘭丸くんとどうなりたいんだろう。
目の前の真剣に揺れる綺麗な瞳に、惹かれないと言ったら嘘になる。
「私は…」
小さく小さく答えた私は、蘭丸くんがどういう表情をするかわざと見ないように目をつむり、そして何が起きるのか流されてみる事にする。
それが私と蘭丸くんにとって、どうなるかわからないけれど…
<終>