<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第222章 Too Much Happiness ― 姫&光秀 ―
長身の光秀さんに顔を覗き込まれ、私は打ち掛けを掛けたまま光秀さんの真剣な眼差しを直視する事になる。
「え…っと…特別な仲なんだろうな、とは思いはしましたけれど、でもいつもの光秀さんと同じだから、どうなっているのかよくわかりませんでした」
仕方ないから正直に自分の思っていた事を伝えると、光秀さんはまたもや笑う。
「全く俺のお姫さまは、どこまで頭の中がからころ鳴っているのか」
吹き出す光秀さんはそれでも笑うのを止めると、私に片手を差し出し真剣な顔をする。
「ではちゃんと言おうか、舞。俺の妻にならぬか」
光秀さんの真剣な表情に、私は瞬間戸惑うけれど、答えはひとつしかなかった。
自分の片手を光秀さんの手に乗せて言う。
「しかたありませんね…他の女性ではお断りしそうですし、私が光秀さんのところに嫁いで差し上げます」
私の言葉に光秀さんの表情は笑みを含んだものになり、私をそのまま抱き寄せる。
「俺だけのお姫さま、だな」
「…危険な事を一人で抱え込まないでくださいね…本当に心配だから…」
抱き締められたまま私は本音を伝えると、光秀さんは私の顎をすくいあげ、互いの目線を交わしながら言う。
「それは俺の性分だから無理かも知れぬがな…舞という守るものがあると、俺は以前より強くなる、そんな気もしている」
光秀さんの顔が近付き、私も光秀さんの背中に腕を回し、私たちの新しい一夜が始まり、そして新しい生活もやがて動き出す…
<終>