<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第222章 Too Much Happiness ― 姫&光秀 ―
その楽し気な光秀さんの様子に、私は打ち掛けを肩に乗せたまま問う。
「これって結婚衣装の打ち掛けですよね?どうして…私が…これを…」
「…俺はおまえを娶るつもりでいたが…おまえは違うのか?」
私の戸惑いに、光秀さんはまゆを寄せてけげんな顔をする。
「そうではなくて…私は、いつ、光秀さんと恋仲になって…そのう…結婚をすると決まったのでしょうか…」
私の問いに光秀さんは顔を横に向けてくつくつ笑い出した。
肩が震えているので笑っているのがわかるんだよ。
しばらくその姿勢だった光秀さんは、笑いをようやくこらえた様子でこちらを向いた。
「そうか舞には、恋仲になった時点で今日から恋仲だ、と言わなくてはならなかったか」
「いえ、そういうわけでは…」
「では簡単だろう。俺の危機を救った時から、俺は静かに舞に惚れていった。舞がその後俺に身を委ねた時、恋仲になったと思ったのだが違うのか?」
真顔でさらりと本音を言われてしまい、私のほうがむしろ恥ずかしくなってしまった。
身を委ねたって…いや、まさしく…そうだけど…うん、好きでもなければまぁ抱かれたりしないよねぇ…だから恋仲、なんだよね…でも光秀さんの態度があまりに以前と変わらないから、私はそうなっているとはあまり思わなかったのかも。
だからそれを光秀さんに正直に私は伝えると、光秀さんは普段は絶対見せないであろう少年のように目を見開いてぱちぱちさせた。
「それは驚いたな。舞が俺と恋仲になっていると思っていなかったのか。では俺とはどういう仲だったのか教えてもらおうか」