<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第218章 貴方へ堕ちる ― 姫&光秀 ―
その表情と言葉に私はどきりとする。
「…出来るんですか?」
わざと聞いてみると光秀さんは面白いものを見た、といったような表情を見せた。
「そうして欲しいならそうしてやろう…おいで」
いつの間にか私の部屋へ到着していて、光秀さんは襖を静かに開き、私より先に私の部屋へ足を踏み入れると私へ手を伸ばした。
その表情は見た事も無いような優しいもので、私はまたどきりとした。
光秀さんの差し出した手に自分の手をそっと乗せると光秀さんは優しく私の腰を抱き、私を部屋へ進ませ襖を静かに閉めた。
光の無い部屋なのに、光秀さんの金の瞳がわかるのは何故だろう。
私をみおろす光秀さんの真剣な眼差しに私は捕らわれ、目が離せない。
「俺を知ったら地獄へ堕ちるぞ」
光秀さんの手が私の頬を撫で、私はその手に自分の手を重ねて言う。
「…地獄ではなく、光秀さんに堕ちます」
「ふ…そうか、俺に堕ちるか…では俺に堕ちろ、舞」
光秀さんの顔が迫り、唇が私の唇を塞ぐ。
私は光秀さんの背中に両腕を回し抱き締め、光秀さんも私の後頭部と腰を抱いてくる。
このまま二人で堕ちるなら、私は光秀さん、貴方に堕ちたい。
星の光の届かない闇の中、二人の堕ちる愛が始まる。
<終>