<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第218章 貴方へ堕ちる ― 姫&光秀 ―
夜の空に見える星々は、現代とは比べものにならないくらいの煌めきを見せている。
「あの星座、なんだっけなー、何か見たことあるなぁ」
こんな事ならもっと星について興味を持っておけば良かった、と後悔しても後の祭り。
まぁ、いいや、と夜空を見つめていると、後ろからふわりと肩に何か掛けられた。
「からだを冷やすぞ」
後ろを振り向くと光秀さんが、少し甘さを含んだ眼差しをこちらに向けてくれている。
「光秀さん、いつからここに…」
足音も気配も感じられなかったので驚いて聞くと、ふ、と片頬で笑む。
「だいぶ前からおまえの後ろに立っていたが、おまえは全く俺に気付いていなかったな。ああ、そういえば『あの星座なんだっけな』とか言っていたぞ」
うわ、だいぶ前から後ろに居たんですね。
「いつまでも後ろで人の様子を伺っているなんて悪趣味ですよ」
言ってやると光秀さんは目を少し見開いて、それからくつくつと笑う。
「小娘に説教されるとは思わなかったな。それにしてもまだ夜は冷える。そろそろ部屋へ戻れ」
半ば強引に肩を抱かれるようにそこから離され、部屋へ連れて行かれる。
「あ、そういえばこれ、掛けてくれたんですよね、ありがとうございます」
掛けてもらっていた上衣を返そうとしたものの、部屋まで掛けてろ、と言われる。