<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第216章 ぶつかって、始まる、恋 ― 姫&三成 ―
「ああ、そうでした、ここは安土城の廊下でしたね…失礼しました、舞様が私に抱き着いてきてくださって、嬉しくてそのまま自分の中に閉じ込めてしまいたくなってしまいました」
そっとからだが私から離れ、三成くんが頭を下げて去ろうとするから、私はそのまま彼の着物の衿を掴む。
「…舞様?」
掴まれた三成くんは驚いて問い、私は顔が熱くなるまま、しどろもどろに言う。
「…その…もうちょっと…二人きりで…」
三成くんからこくりと息を呑む気配がし、瞬間反対に腕を引っ張られ、目の前の空き室へ二人で入り込んだ。
「み、つなり、くん…」
部屋に入った途端強く抱き締められる。
「何て顔をしているんですか、舞様。そんな顔、他のかたに見られたら、あっという間に食べられてしまいますよ」
「た、食べられるって…」
「私も食べたくなってしまったではありませんか…責任とってくださいね」
「え…みつ、な、り、く…んぅ…」
何が起きたか一瞬わからなかったけれど、三成くんに口付けされたのはわかった。
三成くんらしくない早急な動作に、私はついていけず流されるまま、三成くんにごちそうさまされてしまった。
「私もおとこですよ。ぶつかってこられた舞様があんまり可愛らしくて、私のものにしてしまいたくなったのです」
そんな事、真顔で言われたら私も何も言えなくて、三成くんの背中に自分の両腕を回して全てを自分の中に受け止めた。
三成くんの優しい唇が私の唇に落ちてくる。
それは性急に始まった二人の恋の続きを、示してくれるものだった。
<終>