<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第216章 ぶつかって、始まる、恋 ― 姫&三成 ―
白く長い外衣が目に入り、あの後ろ姿は三成くんだ、と私は気付く。
「三成くん」
後ろから追い掛けて声を掛けると、穏やかな笑顔を見せながら振り向くのは、やっぱり三成くんだった。
「…舞様、何でしょうか」
追い掛けきた私に立ち止まってくれたものの、私が止まり切れなくて三成くんにぽすんと抱き着いてしまった。
「うわ、ごめんっ」
慌てて離れようとしたけれど、可愛い顔してやっぱり三成くんはおとこの人だ。
ずるいよ、飛び込んでしまった胸は広くて、私がすっぽり入ってしまったじゃない。
心臓がどきどき早鐘のようになったのを気取られないように、そっと手でからだを押して離れようとする。
「ごめんね、止まれなくてぶつかっちゃった」
「いいえ、舞様が飛び込んできてくださるなんて嬉しいですよ」
謝って離れようとしたのに、三成くんにむしろ嬉しいと言われ、更に私の両手に背中を回され抱き締めるような姿になってしまう。
「ちょ、三成…くん?ここ、廊下、だよ…?」
廊下で抱き合っているのを誰かに見られたら、からかわれるの絶対でしょう。
だから急いで三成くんに言うと、ようやく三成くんも気付いて手を離してくれた。