<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第214章 風邪 ― 秀吉&姫 ―
「秀吉さん、最近忙しすぎたからね」
舞が薬の入った椀を持って、俺が伏す横に座る。
「おい、近寄るな、うつるぞ」
俺は少し慌てて舞に言って、そしてゲホンと咳き込んだ。
「あっ、ほら、ちゃんと寝てないと。その前に家康が作ってくれた薬を飲んで?」
舞が用意してくれた薬を飲むため、わかった、と俺は起き上がる。
「大丈夫?」
起き上がるのを舞が助けてくれるが、それぐらいは一人で出来るぞ。
俺が起きたのを見て舞が盆に乗った薬の椀を寄越してくれたので、受け取り一気にそれを飲んだ。
「うぉ、苦いが効きそうだなぁ」
椀を戻しながら言うと、舞が小さく笑って言う。
「良薬口に苦し、だね」
「ん?なんだ、それ?」
聞いた事の無い言葉に俺がまゆをひそめ、舞が言った。
「ああ、この時代にはまだこの言葉、無いのかな」
どうも未来の言葉だったらしく、舞が意味を教えてくれた。