<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第213章 物が吉い ― 家康&姫 ―
「幸運のかたな?」
家康から聞いた時、何か似たような話しを聞いたなぁ、と舞は目をぱちくりさせた。
「うん、貞宗っていう刀工が作ったかたななんだけど、俺が出陣する時に携えると必ず勝てるんだ。だから、これは俺にとって物が吉い、物吉貞宗って名前をつけたんだ」
「え、かたなってそんな風に名前がつくの?」
「まぁそういう由来でつくものもあるよ。ちなみに政宗さんのかたなは、燭台切光忠って言うしね」
「しょくだい?きり?みつただ?」
舞は頭にクエスチョンマークを飛ばす。
「青銅の燭台もばっさり斬ったかたなだから、燭台切って言うんだ」
「ずいぶんあっさりというか、何と言うか、いい加減にかたなって名前が付くんだね」
物吉といい、燭台切といい、そういう事から名前が付く事に舞は驚く。
「他にもそういう由来からついた名前を持つかたなはあるよ」
「そんな名前の付き方で、そのかたなは納得してるのかなぁ」
舞は首を傾げると、家康は肩をすくめる。
「かたなは物だから、納得も何もないと思うけれど」
「そうかなぁ。だって付喪神って言うじゃない。長く存在した物は神様になるんでしょう?」
舞はあくまでかたなも生きていると思って言う。