<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第212章 海にて ― 信玄&姫 ―
舞は言うが、俺は興味のある女人しか口説いたりしないんだがな。
俺がいつもきみには本気だ、と言ったら、それでも冗談だと思うだろうか?
そうだな、きっときみは俺の本気を気付きながらも、からかっているの一言で済ませようとするだろうな。
自分では気付いていないけれど、そんなところがおとこを煽る。
俺ですらその無邪気な艶に振り回されて、でも、それは妙に心地いいのは何故なのか。
未来の娘たちはこんなにも普通におとこたちを手玉に取り、自分の手のひらで転がしているなら、それはそれでなかなか自分へ堕とすのも楽しそうだ。
だが俺が欲しいのは目の前の舞、ただ一人。
桜貝に目を奪われ見付けては拾い、ふところから取り出した懐紙に載せていく。
俺はそんな貝拾いを楽しむ舞を見つめながら、どこに真っ先に口付けようか考える。
どこに口付けてもきみの事だ、顔を赤くして俺を可愛く睨んでくるのだろう。
そんな可愛い舞を、早く全身で愛したいとつい下半身がぶるりとうずいてくるのは舞があまりに可愛すぎるからか。
「舞、まだここは寒い。そろそろ戻ろうか」
俺は平然を装い宿へ戻る事を提案すると、舞は慌てて俺の近くへ戻ってきた。
「信玄様、からだ冷えてしまいましたね。待たせてしまってごめんなさい」
「ああ、そうだな。この冷えたからだ、舞のからだで温めてもらおうか」
そう言って俺は舞を抱き締めると、舞は言いたい事に気付いたようで「もう…っ」と顔を赤らめ、そんなところも可愛くて、俺はこの後の動作を余裕なく考え、早く二人きりになりたくて仕方なかった。
<終>