<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第211章 馬 ― 政宗&姫 ―
「大丈夫、怖くない、怖くない」
馬屋の前で、何だかぶつぶつ言ってる舞にそっと近寄ってみる。
見ると草を持って馬に食べさせようとしているのがわかった。
「何、してるんだ?」
近寄ってから声を掛けると、思い切りびくっとからだを強張らせ、こちらを振り向いた。
「あ…何だ、政宗か…びっくりしたよ」
俺とわかるとほっと安心したような表情を見せる舞。
「馬に何か食べさせようとしたのか?」
俺が聞くと素直に頷く。
「うん、馬に慣れたほうが良いかなって思って。まず食べ物をあげるのが一番かと思ってるんだけど」
まぁそんな事だろうと思ったよ。
「それで慣れるなら苦労はしないけどな」
俺が言うと舞は馬から一歩離れて俺の顔を見る。
「やっぱりこれじゃ駄目かな」
あんまり単純でやっぱりこいつは可愛いな、と俺は思う。
「馬に慣れたいのか?」