<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第210章 星 ― 姫&佐助 ―
流れ星に願いをかけよう。
そんな事を佐助くんに言われて、誘われた流星観測。
二人で春日城から少し離れた野原に座り、肩を寄せ合ってぬくもりを感じながら空を見上げる。
現代では見られない、満天の星空。
あまりに星が多すぎて、星座すらよくわからない。
そんな事を佐助くんに言ったら、佐助くんはきょろきょろと空を見て、そしてある一点を指さした。
「あれならわかるかな」
天頂に近いところに見えるのは、英字のW、かな?
「そう、カシオペア座。あれなら今の時期、わかりやすいと思うから、あれを始点にしよう」
そして佐助くんは教えてくれるけれど、はっきり言って覚えきれないよ…?
変光星?何座の何だっけ?星名は一つなのに実は星が二つあって回転しているから、その時によって明るさが変わるものがあるんだって。
あと、この時期、夏の大三角形のように明るい星をつなげて出来るものは…えーと、春の…大…ええっと…?
私のちんぷんかんぷんな頭の中に気付いたのか、佐助くんは苦笑する。
「ごめん、ちょっと専門的すぎたみたいだな」
「ううん、私こそちゃんと理解出来なくてごめんなさい」
佐助くんは一見わかりにくいけれど、少し笑みを浮かべると、自分の横に置いていた風呂敷包みを広げた。
するとひとくちサイズのおまんじゅうが表れた。
「わ、おまんじゅう、いつの間に?」
「行く前に茶屋に寄って調達しておいた。小さくて可愛いからきみが好きだろうと思ってね」
「うん、可愛い、ありがとう!」
私は小さなそれをもらうとパクリと口の中に入れた。