<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第205章 恋の楽しみは後で。 ― 佐助&姫 ―
唇を離して俺は言う。
「俺の誕生日当日、また来て良い?」
「…勿論だけど…」
赤くなって小さく答える舞さんに、俺はふところにしまった佐助たんを取り出し、佐助たんでばいばいと腕を振らせつつ言う。
「今、ここで、きみを奪うのはたやすいけれど、どうせならあと数日我慢して、俺の誕生日にきみをもらっても良いかな」
あまりに直球な願いだったろうか、舞さんは無言でくちをぱくぱくしていた。
「…え…と、それで良いなら…佐助くんがそれで良いなら…いいよ…」
ようやく聞けた舞さんの言葉。
じゃ、俺の誕生日に続きというか最初からしよう。
俺は佐助たんで舞さんの額にキスすると、もう一度佐助たんをふところにしまい、「また」と舞さんに挨拶して去る。
舞さんが俺を好いてくれているとは、いくらわかりやすい舞さんの顔でもわからなかったから嬉しい誤算だったな。
誕生日当日にまた会えるなんて嬉しい、と俺は浮かれ過ぎていたのだろうか、安土城から出る時、瓦を踏み間違えて思い切り音をたててすっ転んでしまったくらいだ。
これは舞さんには秘密にして欲しい。
好きな子の前では常にかっこよくいたいよね。
舞さん、誕生日を待っていて、きみが俺以外の武将たちを好きにならないように、たっぷり俺の愛を注ぐつもりだから。
<終>