<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第205章 恋の楽しみは後で。 ― 佐助&姫 ―
「こんな遅くにごめん」
俺が天井から声を掛けると、でも優しい舞さんは微笑んで「どうぞ」と言ってくれる。
「遅くって言っても現代ならまだまだ宵の口だよね」
くすくす笑って舞さんは言う。
確かにこの時代は電気が無いから、同じ夜の時間でも暗さは全く違う。
夕方を過ぎると、完全に闇。
一般の人は暗くなったら寝るから、この時代のひとびとはもう寝る時間だ。
俺はするりと天井から部屋に下り、懐からお土産に買っておいたおまんじゅうを取り出す。
「お土産、どうぞ」
「わ、ありがとう。お茶淹れるね」
舞さんはおまんじゅうを食べるためにお茶を淹れてくれる。
茶人としても有名な豊臣秀吉さんに指導を受けたらしく、お茶の淹れ方がとても上手だ。
「美味しいお茶だね、ありがとう」
「本当?ほめてもらえて嬉しいな」
おまんじゅうをほおばりながらにっこりする舞さんが、とても可愛く見える。
その可愛さに、ちょっと心が動揺したように思ったところで、舞さんが「そうだ」と何かを思い出したらしく俺に話し掛ける。