<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第204章 Change root ― 佐助&謙信 ―
雷が落ち、目の前が暗くなった後、目を開けるとそこは戦場だった。
「…タイムスリップ出来たのか…」
俺はめがねを押し上げて周囲で戦うひとびとを見回すと、すぐ近くにいかにも高価そうなものを身に着けた男性が倒れているのに気付く。
戦うひとびとに気付かれないように、そっとその人に近付く。
息をせず心臓も動いておらず、顔も蒼白で、死んでしまっているようだった。
しかしあまりに美しい死の表情に、俺はこの人が蘇生しないかやってみることにした。
「まずこの戦場の真っただ中から離れないとな」
とにかく周囲に留意して、その美しい男性を抱え、戦場の中心から外れようと移動する。
「これ、目立つな」
男性のマントらしいものが豪華すぎて目立つのに気付き、それを外す。
そして俺の着ていた白衣を脱いで、男性の頭から被せて目立たせなくした。
鎧を着けているのでとにかく重いがゆっくりと運び、横たえる。
首を起こし舌が気道へ入り込まないようにする。
「気道は確保っと」
両手を重ねて、心臓の部分を上から思い切り押す。
何度も思い切り押していくと、うまく空気が入っていったのか、男性がほんの少し動いた。