<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第202章 追い掛ける ― 政宗&姫 ―
「なぁ、そんなにいろいろな面白いところがある時代からこっちに来たら、物足りなさを覚えるんじゃないか?」
俺が聞くと、ぽかんとした表情を見せた後、くすくす笑いながら舞は言う。
「最初は怖かったよ。戦で殺し合いを普通にしているんだもの。未来ではもう戦は無いしね。でも少しずつこの時代の人や生活、考え方を知ってこの時代の面白さを感じたし、なにより政宗と知り合えたから、この時代から離れようとは思わないよ」
それを聞いて俺は頷く。
「もしおまえが未来に帰ったら、俺は追い掛けていかないとならなかったな」
「えっ…政宗、500年後に来るつもりだったの?」
「当たりまえだろう?おまえを青葉城へ連れて行くからな」
「えっ…それは困るよ」
「何が困る?青葉城へ行くのが嫌なのか?」
突然の舞の困るという言葉に、俺のほうが困惑する。
「だって政宗が500年後に来ていたら、かっこよすぎてモテちゃって大変だったもん」
「…そっちの事か…」
思わず脱力する俺に舞は笑う。
「私、政宗と一緒に青葉城へ行くの、楽しみだよ」
俺は舞の笑顔を見て、苦笑しつつ言う。
「もう少しであっちも桜の季節だ。良い季節に帰れるな」
青葉城で待つ家臣たちは俺が嫁を連れて帰ったら、驚き喜ぶだろう。
俺は目の前にいる舞の腕をひっぱり、胸に抱き込んで言った。
「青葉に戻ったら、本格的に子作りするぞ」
「…ええええっ」
赤くなる舞が狂おしい程愛しい。
「俺のところにずっと居ろよ。逃げたら追い掛けるからな」
抱き込んだ俺の顔を見上げた舞は言う。
「逃げないよ。だってずっと政宗の隣にいるって決めたんだから」
<終>