<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第200章 笑顔 ― 姫&光秀 ―
「光秀さん、それってもしかして…」
私は光秀さんが手にしているものを見て、絶句する。
光秀さんは愉し気な笑みを片頬に浮かべると、それをこちらに向けた。
「ちょ…危ないからこっちに向けないでくださいっ」
私は驚いてからだを強張らせてしまう。
光秀さんが持っているもの、それは火縄銃。
確か最初に種子島にもたらされたんだよね。
そんな品が安土にあって、今、こうして光秀さんが手にしている。
聞いたところによると光秀さんは火縄銃の腕前がかなり良いらしい。
「珍しいものを見るような顔をしているな」
光秀さんにからかうように言われるけれど、当然だよ、現代に火縄銃はないもん。
「そりゃあもう…なんたって教科書にしか載ってないものですし…」
「きょうかしょ?」
光秀さんが私の言った事をオウム返しし、私ははっと自分の言った事に気付く。
いけない、いけない、未来の事を持ち出さない事にしないとならないんだっけ。
「あ、いや、なんでもないです、それにしても何故ここで火縄銃持って歩いているんですか?」