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<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹

第199章 感情に蓋を。 ― 三成&姫 ―


これは嘘だと思いたいのです。

醜い感情が私の心を覆います。

舞様が家康様と恋仲になられた、そして家康様が舞様を娶られると知った時、私はただ素直に「おめでとうございます」と祝いの言葉を述べたのが、心の底に何かが揺らめくのに気付きませんでした。

その揺らめきの名は嫉妬。

気付いていなかった自分の感情。

舞様を私は愛していたのだと気付いたのは、その後。

何故家康様との恋に、祝いの言葉を掛けてしまったのでしょう。

もっと前に自分の心に気付いて、舞様に伝えていれば、この状況は変わっていたのでしょうか。

私は考え、そして首を左右に振るのです。

自分の感情を伝えたところで、舞様の気持ちが動く事は無かったでしょう。

むしろ私の事を伝えずに済んだ事で、舞様に余計な負担を掛けさせなかった、と思わなくてはならないのです。

武田信玄殿は舞様を天女と呼んでいたが、確かに私にとっても舞様は天女と言って間違いないかもしれません。

もう手の届かない、近くにいても触れてはいけない、天女のような存在。

そんなかたになってしまうのです。
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