<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第196章 月のうさぎ ― 謙信&姫 ―
「謙信様、おわかりになりましたか?」
「成程、餅付きをするうさぎの姿か」
「そうです、それです」
両手を合わせてぱちんと手を叩く舞は、俺がうさぎを見付けたのを喜ぶ。
「そんなに喜ぶ事でもなかろう…しかし、何故あのようにうさぎの姿が月に見えているのやら…」
俺が疑問に思うと、舞が言った。
「あ、それは月のクレーターというものです」
「…くれぇたぁ?」
はい、きっとこれについての説明は佐助くんが詳しいと思いますけれど、と前置きして俺に説明をする舞。
何に対しても一生懸命な姿は、いつまでたっても変わらないだろう、と俺は笑みを浮かべる。
「謙信様、話し、聞いてます?」
俺の姿に話しを聞いているか気になったのだろう、俺は舞を片手で抱き寄せ言う。
「説明は後で佐助から聞こう。今はおまえが欲しくなった」
「え…あ、けん…し、ん…さ、ま…」
舞を口付けで塞ぐと、黙ってやがて俺を受け入れる。
おまえはそれで良い。
うさぎが月で餅をつく中、俺と舞は抱き合い口付けを繰り返すのだった。
<終>