<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第195章 貴方を望む ― 姫&秀吉 ―
「舞様、信長様がお呼びです。広間までお越しいただけますか?」
三成くんが呼びに来て、私は広間へ足を運んだ。
秀吉さんが小競り合いを静めに行って、数日経つ。
そろそろ戻ってくる頃なのかな、と広間へ入り、信長様に呼ばれるまま近くに座る。
「秀吉はしばらく戻れぬ」
信長様は私の顔を見て、ひとごとのように言った。
「…え…どうして…すぐ戻ると言って出掛けられましたけれど…」
信長様の言葉の意味がわからず、聞き直してしまう。
すると光秀さんが教えてくれた。
「小競り合い自体はすぐ収束させたんだがな、あっちで体調を崩したらしく、懇意の大名の邸でしばらく療養すると連絡が入った」
「そうなんだ…すぐ、良くなるよね…?」
どのくらい具合が悪いのかわからないから、ついしつこく聞いてしまう。
家康が次に発言する。
「ま、あんたはいつも通りに待っていれば、そのうち元気に帰ってくるよ」
それ以上はさすがに聞けず、そして、それから数日過ぎるけれど音沙汰は無い。
もうすぐ秀吉さんの誕生日なのに、それまでに戻ってこられないかなぁ。