<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第190章 取り換えっこ ― 姫&秀吉 ―
真顔で答える秀吉に、光秀は肩をすくめる。
「よし、なかなか面白かった。もっとからかってみたかったが着替えるか」
目の前の空部屋へ入っていく光秀に、遅れて入る秀吉は舞へ言う。
「着替えたらすぐ行くから、部屋で待っていなさい」
「うん、お茶の用意して待ってるね」
舞は自室へ戻り、二人は着物を脱いで元の服装に戻した。
「しかし、あの小娘は本当に他愛ないな。簡単に騙されすぎだ」
光秀が着替えながら言うと、秀吉は苦笑する。
「そうだな。でもそれも可愛いんだ」
「ふっ…秀吉の惚気が始まったか…俺はそれ以上聞くつもりないから先に戻る」
着替え終えた光秀が先に部屋を出て去って行く。
秀吉は着替えを続け、着付け終えると舞の部屋へ向かう。
『簡単に騙されすぎか…確かにそれは言えてるな…今日のは仕置きが必要だな』
舞に声を掛けて部屋に入り、秀吉は舞に諭す。
「だって後ろ姿だったもの。正面だったりせめて髪の毛が見えていたら間違えないよ」
「そうか…からだではわからないか…今日は仕置きが必要だな。俺のからだを間違えないよう、一晩かけてたっぷりわからせてあげよう、な?」
秀吉の途端に艶めいた表情と声に、舞は仕置きという名の甘い時間が始まるのに気付き、顔を赤らめながらも二人の時間を持てる事が嬉しくてならないとばかりに、にこりと秀吉に笑みを返したのだった。
<終>