<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第190章 取り換えっこ ― 姫&秀吉 ―
「光秀さん?何をしているのですか?」
安土城の廊下を通りかかると、光秀がなにやらごそごそやっている背中が見え、舞は声を掛けた。
くるりと振り向くと舞は「え!?」と大声をあげる。
「ひ、秀吉さん?何で光秀さんの着物を着ているの!?」
舞に正面を見せて立つのは、光秀の着物を着た秀吉。
「やっぱり騙されるのか」
ふぅとため息をついた秀吉は、ぽりと自分の頭を掻いた。
「おーい、光秀、騙されたぞ、見事に」
秀吉がどこへともなく声を掛けると、秀吉の着物を着た光秀が表れる。
「何だ、恋仲のおとこが違う恰好をしていても間違えるのか」
光秀はつまらならそうに舞に言い、二人が自分にいたずらを仕掛けたのだと気付く。
「なっ…二人して私をからかったんですね?」
「からかったというか、おまえが恋仲のおとこをどんな姿でも間違えないか確認したのだ。でもこうして間違えたという事は、おまえの秀吉に対する愛情は大したものでない、という事か」
光秀にさらりと言われ、むぅと頬を膨らませる舞。
「秀吉さん、光秀さんに言われたからってどうして着物を交換なんてしたんですっ」