<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第189章 LesParapluiesDeCherbourg―姫&三成―
これでようやく合点がいったようで、三成くんは納得した顔をしていた。
「成程、そういう事でなら理解出来ますね。わかりました」
そして、また三成くんは私の手を握ってくる。
「雨が降るのが心配ですか?確かこの時代にいらっしゃった時も、嵐だったそうですね」
「嵐や雨になったのはワームホールが開く一瞬の時だけ。だからそれまで晴れていたよ」
そう言ってもますます三成くんは私の手を握ったまま話さない。
「もうわーむほーるは開きませんよね」
「え?」
「また開いたら、舞様がどこか遠くへ行ってしまわれそうで…」
佐助くんからは特にワームホールについての話しは聞いていないから、開く事は無いはず。
それを三成くんに伝えると、ほっとした表情をする。
「ごめんね、もしかして心配させちゃったかな」
「ええ…雨を見て、もしかしてもとの時代に戻りたいのかと気になっていました。ですが、そうではないとわかり安心しました」
私はぽすんと三成くんの胸に飛び込む。
「どこにも行かない。私の居場所は三成くん、ずっとずっと貴方の隣だよ」
三成くんが私をぎゅっと抱き締める。
「その言葉、約束ですよ?」
そして、三成くんの優しい笑みを浮かべた顔が、私の顔に陰を作っていった。
<終>