<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第189章 LesParapluiesDeCherbourg―姫&三成―
「シェルブールの雨傘…」
私のつぶやいた言葉に、三成くんが反応する。
「しぇ…あま…?」
「ああ、なんでもないの。雨が降っているから、ふっと思い出しただけ」
私が頭を左右に振って、その思い出した事を思考の外へ出そうとすると、三成くんが私の手を握って言った。
「その聞きなれない言葉は、舞様がいらした未来の世界の言葉ですか?どういう意味があるのでしょう?是非教えていただきたいです」
真剣な紫の瞳に、たいした意味は無いんだけど、と思いながら説明する。
「異国にフランスって国があるの。その国の地名の一つがシェルブール。そのシェルブールに住む恋仲の男女のお話しの題名なんだ、『シェルブールの雨傘』って。なんで傘が出て来るかって言うと、女性の家が傘屋だから」
本当にざっくりと説明するけれど、やっぱりざっくりすぎて訳わからなかったみたい。
三成くんはまゆをひそめて、理解をしようとしているものの、何故シェルブールなのか理解出来ていないみたいだった。
「あのう…そういうお話しなら、何故日の本のものではないのでしょう?どうして異国のお話しなのでしょう?」
ああ、そうだよね、何で外国が舞台なんだろうって思うよね。
「そのお話しが作られたのが異国だからね。日の本で作られてないから異国の場所でのお話しとなっているんだよ」